CONTENTS
展覧会構成
CHAPTER1
第1章
バルビゾン派、ハーグ派
初期のフィンセント・ファン・ゴッホに強い影響を与えたふたつの画派として、オランダのハーグ派、そしてバルビゾン派があります。
ハーグ派とは、19世紀後半のオランダ・ハーグを中心に展開した自然主義的傾向の画派で、風景画や農民の生活を題材とした風俗画で知られています。
バルビゾン派は、19世紀前半から中頃にフランスのパリ郊外にあるバルビゾン村周辺を拠点に広まったグループで、自然主義的・写実的な風景画、風俗画により、絵画芸術の新たな時代を作りました。
特にファン・ゴッホは、バルビゾン派の芸術が持つ宗教的精神性に惹かれていました。そして、バルビゾン派への関心からフランス美術、そしてフランス自体にも惹かれていくようになります。
本章では、ハーグ派のヨーゼフ・イスラエルスとバルビゾン派のミレーという両派を代表する画家の作品を紹介しながら、画家ファン・ゴッホの原点に迫ります。
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The Barbizon School
and
the Hague School
CHAPTER2
第2章
オランダ時代
1853年、オランダ南部のズンデルト村で牧師一家の長男として生まれたファン・ゴッホ。ハーグ、パリ、ロンドンで画廊に勤めますが、宗教世界への関心が高まるに従い、仕事への興味を失い、やがて解雇されます。職を転々としたファン・ゴッホは1880年、27歳のときに画家として生きることを決意。教則本の模写から始め、ハーグに移住してからは従姉の夫で画家のマウフェからも指導を受けます。しかし、人間関係のもつれや芸術観の違いなどから両者は袂を分かちます。1883年、両親の住むニューネンに移ると、現地の風景や風俗、労働者の姿を描くことに没頭していきました。
《白い帽子をかぶった女の頭部》や初期の代表作《じゃがいもを食べる人々》のリトグラフなどを通じて、画家として歩み始めたファン・ゴッホの姿を追います。
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Van Gogh in
the Netherlands
CHAPTER3
第3章
パリの画家とファン・ゴッホ
1886年2月、パリで画商として活躍していた弟テオの勧めもあり、新たな刺激を求めてパリへやってきたファン・ゴッホは、ピサロ、トゥールーズ=ロートレック、ベルナールら同時代の画家たちと密接なコミュニケーションをする機会を得ます。彼らを通じてファン・ゴッホも印象派の表現から様々な影響を受けていきました。彼は特にモネの色彩感覚、ルノワールの色鮮やかな陰影とタッチ、セザンヌの構図や色彩表現の大胆な手法に関心を寄せました。また、スーラやシニャックら新印象主義の画家たちとも知己を得、ふたりの作品や技法に影響されたファン・ゴッホは、彼独自の点描画法を試み、1887年の夏の終わり頃には新印象主義を独自に解釈した作品を完成させました。
ここでは、マネ、モネ、ルノワール、セザンヌといった、印象派やその前後をつなぐ巨匠たちの絵画作品を紹介します。
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Artists in Paris
and
Van Gogh
CHAPTER4
第4章
パリ時代
パリ時代のファン・ゴッホの絵画はたった2年の間に色調だけでなく筆触までも大きく発展しました。この変化はパリに移って数か月後、静物画に取り組んだ頃から顕著になりました。なかでも多彩な花々を集めた花束はさながら色彩表現の実験台でした。花の静物画を通じてファン・ゴッホは、鮮やかで強い色彩と彫刻的とも言える厚塗りの筆触を特徴とするモンティセリから深く影響を受けました。
また、ファン・ゴッホの探求には、画商であったテオも大きな役割を果たしました。テオは兄を経済的に援助しただけでなく、扱っていた印象派の画家たちと兄を引き合わせたほか、印象派作品を直接鑑賞する機会も提供しました。
この章ではファン・ゴッホがパリの前衛的な表現に触発されて明るい色彩と闊達な筆致を駆使するに至る過程を、風景画や静物画、自画像をとおして見ていきます。
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Van Gogh
in Paris
CHAPTER5
第5章
アルル時代
大都会パリでの生活は刺激に満ちたものでしたが、ファン・ゴッホの内向的な性格や生き方には合わず、彼は喧騒によって次第に精神を蝕まれ、田舎の静けさを求めるようになります。同時代の多くの作家や芸術家と同様に、「色彩豊かで陽光にあふれた南仏」に憧れを抱いたファン・ゴッホは、ついに1888年2月、アルルに向かいます。その素朴な風景や共同体的な生活は、彼が激しく憧れていた日本の浮世絵や近代以前の農村社会を思わせる「理想の場所」だったのです。
この地でファン・ゴッホは精力的に制作を行い、15か月足らずで約200点の油彩と100点以上の素描・水彩を残します。さらに、彼は芸術家たちの理想郷ともいえる「南方のアトリエ」の設立を目指し多くの仲間を招きます。その呼びかけに応じたゴーギャンがアルルを訪れたのは《夜のカフェテラス(フォルム広場)》が描かれたひと月後でした。
アルル時代の鮮やかな色彩の対比を活かした油彩表現は、ファン・ゴッホ独自のスタイルとして花開きました。
《夜のカフェテラス》に象徴されるように、色彩を駆使する芸術家としての進路を自覚したファン・ゴッホ。新しい表現に目覚めた喜びが満ちるアルル時代の傑作で、本展の最後を締めくくります。
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Van Gogh
in Arles